この時期になると様々な企業が資格取得のためのCMが特に【〇-キャン】活発に流れるようになる。新しい年の幕開けと共に新しい資格を取得して人生を変えましょう。という魂胆が丸見えなのだが、資格を取得することは自身のレベルアップにも繋がるし、良いことだと思う。
私も数年前の今頃、ニート生活を送っており人生について10代ながら悲観していた時に、新聞広告に〇-キャンの行政書士講座のチラシが目に入り「これなら独立できるんじゃね!」という今から考えればコネ無しでどうやって行政書士の資格を取得しただけで独立できる思考なのか今になって疑問なのだが申し込むことにした。
試験内容としては、「憲法」「行政法」「民法」「商法」「基礎法学」の法律関係から一般知識と呼ばれる社会人であれば知っていて当然であるという政治的問題が出題される。例えば「政治・経済」「情報通信」「個人情報保護法」「文章理解」などであるのだがこの一般知識が難所なのである。
行政書士試験にも学歴フィルターがある
行政書士試験は年齢や学歴、国籍など関係なく誰でも受験できる国家資格というメリットの裏腹に、国家資格としての難易度は非常に高い傾向にある。普通の大学まで出ていれば一年もすれば合格できるような内容には変わりはないのだが、行政書士試験にはトリックが隠されている。
私は一年間、高校受験よりも懸命に勉強をして模擬テストでは法令に関しては合格ラインに到達していたのだが、一般知識に関しては何が出題されてどのジャンルから出題されるか全くもって検討が不可であり、これには非常に苦労をした。毎日新聞を読んで経済書を読んでの繰り返しだ。
「別に法令等で合格ラインに達しているなら一般知識は捨てても良いんじゃないの?」と思われるかもしれないが、行政書士試験はそんなに甘くない。一般知識があるからこそ行政書士試験が難しいと言われる由来があると言っても過言ではないのだ。
責任点があるからこそ行政書士試験の合格率は低い
「責任点」とは、各分野で一定以上の点数が無ければそこで不合格になるというもので、行政書士試験も責任点がある。
過去7年間の行政書士試験の合格率は約8%~15%前後で推移しています。
【参考】2020年度:受験者41,681 名、うち合格者4,470 名(合格率10.7%)合格基準(下記要件のいずれも満たした受験生が合格)
・「行政書士の業務に関し必要な法令等」科目の得点が、満点の50%以上である者
→ 法令等の得点が、244点中50%にあたる122点以上であること
・「行政書士の業務に関連する一般知識等」科目の得点が、満点の40%以上である者
→ 一般知識等の得点が、56点中40%にあたる24点以上であること
・試験全体の得点が、満点の60%以上である者
→ 試験全体の得点が、300点中60%にあたる180点以上であること
※合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置が加わることがあります。引用:TAC
このように全体で難点取れば合格という訳ではなく、法令では「244点中50%にあたる122点以上であること」が求められるし、一般知識では「56点中40%にあたる24点以上であること」が最低条件として求められるのである。これが行政書士試験の合格率が約8%~15%前後で推移している理由になっている。
単純に民法や会社法を頭に叩き込んで法令は完璧な状態になったとしても、一般知識で「56点中40%にあたる24点以上」獲得できなければ、そこでふるいに落とされてしまうのである。冒頭でも説明したがこの一般知識がくせ者で、本当に何が出題されるのか全く見当がつかないのだ。
一般知識という最難関問題
一般知識は「政治・経済」「情報通信」「個人情報保護法」「文章理解」の中からランダムで出題されるのだが、一番の難所は「政治・経済」である。これが何が出題されて何の時事ネタを扱うのか全くもって検討が付かないのである。他の「情報通信」「個人情報保護法」「文章理解」はテキストである程度は補えるが、それでも難しい。
そして一般知識の責任点は「56点中40%にあたる24点以上であること」が求められるので、1問たりとも捨て駒にはできないのである。このような一般知識と責任点があるため、行政書士試験は自ずとして高学歴かまぐれで当たった人しか合格ができないという訳である。
話は逸れるが、私が受験した年に行政書士試験の一般知識問題で話題になった問題がある。それは「ペットの飼い犬に関する問題」であり、当時は「誰が解けるんだよw」「試験製作者遊んでるだろw」という意見が多く見られた。私も試験会場で「はぁ?」となったとは今となっては懐かしい。
資格を取得しただけで独立開業なんて無理だよってお話
資格取得サイトを見ていると「独立開業も可能!」というキャッチフレーズで受講者を呼び込もうとしているサイトもあるが、行政書士試験を受けた私自身から言わせてもらうと、資格を取得したからと言っていきなり独立開業などできる訳がないというお話だ。
行政書士に限らず宅建やファイナンシャルプランナーや弁護士や司法書士などは、どこかの総合事務所に数年勤務してコネを作ってから独立をするというのが一般的である。私がもし行政書士試験に合格していたとしても「コネ無しニート行政書士」に誰が依頼をしてくるだろうか。
私が依頼者だったら「コネ無しニート行政書士」は怠慢な総合事務所より真剣に仕事をしてくれそうだから依頼をしてしまうかもしれないが、私のような異端者は多くはないだろう。そのため独立という夢を追い求めることは素晴らしい事だとは思うが現実は甘くないという事を理解して欲しい。
行政書士試験の前に宅建を受験することをオススメ
宅建は弁護士や税理士、行政書士、司法書士と同様の仕業となり、この仕業というジャンルの中でも宅建は比較的難易度が低いという特徴がある。そして試験内容も行政書士と被る項目があるために、行政書士試験を取得する前に宅地建物取引士の資格を受験することをオススメしたい。
宅地建物取引士は比較的簡単と言っても「仕業」というジャンルに限って難易度が低いという訳であり、合格率は平均して15%となっているため、行政書士よりは取得しやすい試験であるし、宅地建物取引士の資格を取得していれば不動産関係の就職も有利に進む。
もし、宅地建物取引士を受験してみて不合格であれば行政書士試験の合格はまず不可能に近い訳であり、お試しとして行政書士試験を懸命に勉強する前に、宅地建物取引士の勉強を懸命に行ってみて力試しをしてから行政書士試験を受験することをオススメする。
まとめ
司法書士、行政書士、宅地建物取引士という仕業は弁護士や税理士とは異なり、受験資格というものが必要でないために、ちょこっと勉強をして「運が良ければ合格出来たらな」という受験生が多い傾向にあるのは事実である。これが合格率を下げている要因になっているのだろう。
勿論、しっかりと勉強をして試験に臨めば合格も夢ではない訳であり、何事も挑戦してみるということが重要である。実際問題、私は底辺高校を中退しているが法令科目については合格ラインに達していたので大半の人は真面目に勉強すれば合格範囲に届くのではないだろうか?是非頑張って欲しいと思う。
読んでくれてありがとう。